VDSL方式とは?マンションでの光回線接続方式や高速化する方法を解説
公開日:2024/11/27

マンションやアパートに入居している方の中には「インターネット接続速度が遅い」と感じている方もいるでしょう。その原因は、入居している集合住宅にて採用している接続方式が「VDSL方式」だから、という可能性があります。少しでも快適にインターネットを使用するためにも、インターネットの接続方式について把握しておくのに越したことはありません。
この記事では、VDSL方式とは何か、その他の接続方式にはどのような種類があり、どのような違いがあるのかを詳しく紹介します。また、VDSL方式から他の接続方式に変更する方法についても解説します。
list目次
VDSL方式とは

VDSL方式は、光回線と既存の電話回線の両方を使った配線方式です。正式名称は、「Very high-bit-rate Digital Subscriber Line」で「超高速デジタル加入者線」とも呼ばれます。加入者線とは、電気通信事業者が提供しているネットワークをインターネット加入者宅へ結ぶ通信線のことです。
数百メートルほどの区間においては、ある程度の通信速度を提供できるため、主としてマンションやアパートといった複数の利用者が存在する集合住宅に採用されています。
VDSL方式の特徴は、建物共有スペースまでは光回線が使われていますが、共有スペースから各部屋までは電話回線を利用する点です。この電話回線への切り替えによって、通信速度が低下してしまうことがあります。通信速度の目安としては、「上り:50Mbps〜100Mbps」「下り:~100Mbps」とされています。インターネットの利用目的がネットサーフィンや動画の視聴程度であればそれほど問題のない速度ですが、光回線の速度に慣れている方にとっては遅く感じられるでしょう。
築年数の長い集合住宅では、光回線にて使用する光ファイバーケーブルを新たに設置することが難しいという理由から、既存のVDSL方式を継続して採用している事例が多いようです。
マンションにおけるその他の光回線接続方式

マンションやアパートといった集合住宅において、インターネットが利用できるかどうかは入居を希望する方にとって重要な選定ポイントです。現在、主流とされている接続方式を把握しておくとともに、入居を希望しているマンションやアパートがどの接続方式を採用しているのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
ここでは、VDSL方式以外の接続方式である「光配線方式」と「LAN方式」について、その特徴やVDSL方式との違い、およびメリット・デメリットについて解説します。
なお、マンションで光回線が使えるかどうか確認する方法についてこちらの記事で解説していますので、気になる方はぜひご覧ください。

このマンションで光回線は使える?光回線の工事状況の確認方法
光配線方式
集合住宅だけでなく、戸建てでも広く採用されているのが光配線方式です。VDSL方式とは異なり、途中から電話回線に切り替わることはなく、各部屋まで光ファイバーケーブルのみでがつながっています。そのため、通信速度の速さと安定性が最大のメリットといえるでしょう。通信速度の目安としては、上り下りともに1Gbps程度とされていますが、中には10Gbpsまで出るケースもあります。
光配線方式のデメリットは、新たに導入するのが難しいという点です。築年数が長い物件の場合、光回線を引き込んで工事を行うための設備自体が整っていないケースがあります。また、前提として光回線の提供エリア外である地域の場合、工事そのものができません。
光配線方式を導入したい場合は、物件が提供エリア内にあるかどうか、および光回線を導入できる設備が整っているかを確認しましょう。提供可能エリアについては、以下、NTT東日本・西日本の公式HPにて確認できます。
LAN方式(イーサネット方式)
一部の集合住宅で採用されているLAN方式(イーサネット方式)は、モデムや光回線終端装置(ONU)といった終端装置を使用しない点が特徴です。また、共有スペースまでは光回線でつながっていますが、共有スペースから各部屋まではLANケーブルによって接続されています。上り下りともに最大で1Gbpsまでの速度が出るとされているため、速度としてはVDSL方式よりも優れているといえるでしょう。
デメリットは、夜間や休日など、住民が同時にインターネットを使う機会が多いであろう時間帯には、速度の低下はもちろん、インターネット接続自体が不安定になる恐れがあります。
VDSL方式はなぜ他の方式より遅い?

光配線方式やLAN方式に比べて、VDSL方式の通信速度はどうしても遅くなってしまいます。なぜ他の方式よりも遅くなってしまうのか、その原因をもう少し深掘りして見ていきましょう。
電話回線を使用しているため速度の上限が低い
VDSL方式では、共有スペースから各部屋までは電話回線が使われています。電話回線はアナログ信号を使用する回線であり、光回線が登場する前から日常的に使われていた回線です。この電話回線の速度上限が100Mbpsとなっているため、光回線に比べるとどうしても遅くなってしまいます。
また、光回線は電話回線とは異なりデジタル信号を使用していますが、VDSL方式の場合はデジタル信号からアナログ信号への変換が必要です。そのため、どうしても信号の変換に伴う情報処理の負担が大きくなってしまいます。こうした理由から、VDSL方式における通信速度は遅くなってしまうのです。
他の住人と分け合っての利用となるため混雑する
VDSL方式では、電話回線を各部屋の住人全員で共同して使用することになります。そのため、住民の多くがインターネットを利用する時間帯になると、回線が混雑してしまうのです。混雑時は住民一人ひとりが使用できる回線の容量が減り、通信速度の低下につながってしまいます。
ちなみに、光配線方式では一戸ごとに個別の回線が割り振られるため、混雑の心配はありません。
電磁波などのノイズの影響を受けやすい
光回線(デジタル回線)は、周囲の電子機器から発せられる電磁波の影響を受けにくいため、通信速度が低下する心配はほとんどありません。
しかし、電話回線(アナログ回線)は電磁波の影響を受けやすいため、通信速度の低下につながってしまいます。例えば、電子レンジのような電子機器から発せられる電磁波が代表的な例です。
以上の3点が、VDSL方式の通信速度が遅い主な要因です。続いて、集合住宅においてVDSL方式から別の接続方式への変更は可能かどうか、そして変更するにはどうすればよいのかを解説します。
VDSL方式からの変更は可能?

結論から述べると、VDSL方式から別の接続方式に変更することは可能です。しかし、変更するためには、後述するいくつかの条件を満たす必要があります。
条件① 全体で一定の契約件数があること
集合住宅の回線設備を光配線方式に変更する場合、回線事業者が設定している「契約件数」を満たす必要があります。
また多くの方が入居している集合住宅の設備を工事して変更することになるため、住民のごく一部が光配線方式に変更したいと希望しても、その要望が通る可能性はほぼありません。
つまり、一定以上の人数が光配線方式への変更を希望しなければ、VDSL方式から変更するためのスタートラインにも立てない、ということになるのです。
一例として、NTT東日本とNTT西日本における集合住宅向けプランの最低契約件数(世帯数)を見てみましょう。
サービスメニュー | ミニ | プラン1 | プラン2 |
---|---|---|---|
同一建物内で見込める契約数 | 4契約以上見込める場合 | 8契約以上見込める場合 | 16契約以上見込める場合 |
引用:フレッツ 光ネクスト(集合住宅向け)サービスメニューと配線方式|NTT東日本
プラン1 | 集合住宅またはビル単位に8ユーザー以上の申込みが見込まれる場合 |
---|---|
プラン2 | 集合住宅またはビル単位に16ユーザー以上の申込みが見込まれる場合 |
ミニ | 集合住宅またはビル単位に6ユーザー以上の申込みが見込まれる場合 |
引用:フレッツ 光ネクスト|料金(月額利用料・初期費用・工事費)|NTT西日本公式
まずは、他の入居者が光配線方式への変更を希望しているかどうかを確認することから始めましょう。
条件② オーナーや理事会での承認
VDSL方式から変更する場合、共有スペースから各戸までに至る配線の大規模な工事が必要です。オーナーが工事に懸念を抱く恐れがあるため、オーナーの承認は必須事項となります。建物全体に関わる作業となるため、理事会の承認も同様に必須です。また、共有スペースも含めた工事となることから、管理会社の許可も得なければなりません。 このように、VDSL方式から変更するためには、住民・オーナー・管理会社・理事会という各所からの承認が必要です。そのため、集合住宅における光配線方式への変更は困難を極めます。
このように、VDSL方式から光配線方式への変更には高いハードルがあります。
しかし実は、集合住宅全体での工事を行うことなく、個別に光回線の契約を結べる可能性があります。
戸建てと同様に個別契約を結べるケースも
仮に、他の住民からの同意が得られなかった場合、個人的に戸建て用の光配線方式プランを契約する、という選択肢があります。この場合も自室の工事が必要となるためオーナーと管理会社の承認は必要ですが、マンション全体の工事に比べると圧倒的に規模は小さいものとなります。
なお、この方法にはいくつか注意点があるため、あらかじめ把握しておく必要があります。
まず、回線事業者が戸建て用のプランを集合住宅向けに提供できるかどうか確認しておきましょう。料金もマンションタイプとは異なるため、併せて確認しておきたいポイントです。
また、部屋が高層階にある場合や、建物の構造上の理由などで工事が不可能なケースも考えられます。そして当然ながら、工事が承認されないケースもあります。
このように、個人的に契約を結ぶ方法は選択肢としてはありますが、集合住宅全体で光配線方式へ変更する方法とは違った意味でハードルが高い方法です。
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ここまで、VDSL方式の特徴とその他の接続方式との違い、および光配線方式への変更方法について解説しました。集合住宅にお住まいの方にとって、既存のVDSL方式から光配線方式への変更は簡単ではありません。しかし、他の入居者との混雑を回避し、快適にインターネットを利用したい場合は光配線方式の導入を検討するとよいでしょう。
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マンションタイプの場合、月額料金(2年バリューパック)は下り最大1ギガのプランで4,180円(税込)、更なる高速通信に対応したる10ギガプランの場合は6,380円(税込)となっています。
10ギガプランについては、以下の記事を参考にしてみてください。

光回線の10G(10ギガ)プランとは?速さや契約時の注意点について解説
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まとめ
既存の集合住宅、特に築年数の長い物件の場合、インターネット回線はVDSL方式を採用しているケースが多いでしょう。VDSL方式は各戸で同一の電話回線を使用しているため、通信速度の低下や不安定さが懸念点として挙げられます。
快適にインターネットを利用したい場合は、他の入居者やオーナー、管理会社の同意を得たうえで、回線事業者に光配線方式への変更を相談するのがおすすめです。もし、他の入居者から一定数の同意が得られない場合は、個別契約も視野に入れてみるとよいでしょう。
光配線方式の導入が決まった場合は、ぜひ「@T COM(アットティーコム)ヒカリ」をご検討ください。